Kaita City Life 海田市生活

次はどこ走ろうか

なんで勉強しなきゃいけないの?・・・は良い小論だったけど、学校で「魔法」なんか教われない

面白かった瀧本先生の記事

あまりカッチリした記事をweb上で読むことは無くなってしまった。老化で集中力が落ちているのかもしれない。

そんな中、京大の瀧本さんって先生が書いた「『なんで勉強しなきゃいけないの?』って子供に聞かれたらこう答えよ」という記事は久しぶりに楽しく読めた。

「なんで勉強しなきゃいけないの?」と子供に聞かれたら、こう答えよ(瀧本 哲史) | 現代ビジネス | 講談社(1/9)

不思議な事柄としか思えない多くのことは「魔法」よって実現していて、その「魔法」を学校では学んでいるんだ。20-30年前と今を比べると身の回りが激変しているのは「魔法」のお陰。実例でニュートンが「微積分」という武器、自然科学の「言葉」によってこの世の仕組みを明らかにした事が説明され、彼が恵まれない状況下でも頑張って「魔法」で世の中をひっくり返していった事が説明されている。

「わぁー」って思う反面、エリートの人が書いただけあって勉強する理由が分からないといって口を尖らせる層には難度が高い。中高時代のボクだったら最後まで読んでいない。これ読んで「へーっ」って思うような層は「賢いって思われたいから」とか「良い大学いきたいから」位の理由で何時間も勉強できちゃうんだと思う。

読んだ直後は気持ちよかったのだけど暫くすると違和感を感じてしまった。

本当にボクは学校で「魔法」を教わったんだろうか?

テクニック満載、「まっちゃん」の高校物理

Newton力学は高校の物理で最初に教わった。余りに訳がわからなくて戸惑ったので教師の名前もフルネームで覚えている。とりあえず今は「まっちゃん」と呼ぶ。瀧本先生のお話と違って、高校の授業では飛んで行くタマに始まり保存則まで微積分は無しで進んだ。文科省にお墨付きを頂いている県立高校教師の「まっちゃん」は予備校の事は下に見ていた。予備校は科目その物を分からせるんじゃなくってテスト用のテクニックを授けているって理解していた。予備校はこすっからい事をしているが俺はちゃんと物理を教えているぞって思うんならその道で行けば良いのに、時々変な言いわけをしていた。「君たちもテクニック的な事も多少知りたいだろうから」等と言っていくつか公式を書き出して枠で囲んでからあれこれ説明しだした。ボクは「まっちゃん」が枠で囲う公式たちが全然頭に入らなかった。そっくりなものが多くてダメ。tが二乗なのかvが二乗なのかで何時も大混乱。当然テストは赤点レベル。万有引力とリンゴが落ちることの関係も分からないまま高校を卒業した。でも「まっちゃん」がテクニシャンだって評判は誰からも、女子からも聞かなかった。

予備校物理講師はメーカー退職組

微分積分を用いて力学を学んだのは予備校の授業と自習用に買ったZ会の参考書だった。予備校の時の物理の先生は今も教えているみたい。工学部の機械をでて自動車メーカーに入ったけど、つまんなくて辞めて予備校の先生になったって事だった。文科省お墨付きの「まっちゃん」と比べるとドロップアウト感が漂うって事になるんだろうか。この人は最初の授業で「一つだけ公式を覚えて下さい」と言って自分の顔くらいデッカイ字で一個式を書いた。

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それで、「ついでに力積って量があってF・⊿tだって覚えて下さい」って言って授業に入った。当時のボクにはこれは衝撃で、きっと人気取りをしているんだろうと思った。だって「まっちゃん」の授業では紛らわしい公式が幾つも出てきて、そういうのをパキパキ使いこなすのが予備校風テクニックって話だったから。でも実際式なんか覚える機会は無いまま授業は進み、当たり前の事として微積分が出てきた。微積分って言ったって高校物理の力学はたった一つの関係を覚えていれば良いだけだから問題なし。

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どういう事かは数学の講師の担当。自習で読んでいたZ会の本も最初に定数から2次関数までの微積分が来て、積分と求積の関係が説明してあった。力学は物体に働く力をキチンと書き出すの事の方が大事な練習だった。

距離や速度と面積との関連付けって小学校の算数でやるレベルで済むわけだから大した事なんかない。四角形と三角形の面積を出す学力があれば良いだけ。等速度なら距離は四角形だし等加速度なら三角形になる。

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高校の1年とかで力学を学ぶのに目新しい数学はさっきの関係だけ暗記すればOK。こいつを暗記だけさせられて知らん顔させられるなら少し抵抗があるけれど高2の数学で微積分は出てくる。先々文系の心積もりの人もここまでは付き合わされる。だから「後でちゃんとやるから」って仁義切っといて、丸暗記させて使い方教えてOKなはず。高校教育としてはちゃんと責任が取れる。力学をやる意義は一気に増すし、「魔法」が伝授される事になる。そして「魔法」は「数学」で語られるって事にもお勉強熱心な連中は気づかされるだろう。これはメチャメチャでかい。

山本義隆は授業も過激派?

会社の同僚に駿台山本義隆に物理を教わったって人がいて、もう大分前だけど、そん時の事を聞いた事がある。山本義隆は力学の授業の初めの頃に偏微分の説明をしたらしい。ただし数学的な小難しい話は無しでf(x,t)をxとtで微分するとどうなるかって事を具体的にやって見せる程度だったとか。

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まあ、f(x,t)曲面に接線を引いた図を示しながらやったって30分程度で済むだろう。で、それだけ頭に入れさせたら後はバンバン使ったらしい。理系を受験するためのクラスだから願いかなって大学生になった暁には偏微分の御講義を授かるわけで学生生活としては問題なく閉じるって事で良いのかな。この話を聞いてから書店で山本義隆の「物理入門」を眺めて、余りに立派で感動して思わず買ってしまった。Feynmanより10年も後に「物理入門」を買う人ってあんまし居ないんじゃないかと思う。

高校教科書は何故に不思議か

 高校の物理の教科書を書いていた、あるいは書いている先生は山本義隆と違ってクルクルだから微積分の無い力学になっているのだろうか。ボクの頃の著者は磁石の本を書く様な人でまかり間違ってもクルクルなんかじゃない。きっと微積分は数学屋のシマで数学屋がちゃんと教える事になっているから物理屋が領分を侵して、先に使い方だけ教えるなんて事は許されないんだろう。そして、力学もやるし微積分もやるから高校のカリキュラムとしては整合性が取れるって話で、やっぱり役所はキチンとしてますねって事なんだと思う。で、何か変な思想に嵌っているとしか思えない特殊な「力学」が出来上がったんじゃないかと思う。

微積分みたいに多くの人が学ぶ機会があるもので、半数以上の人が「何でこんなものやるの」と思ったモノに対しこれ以上無い意義付けが出来る機会が失われているわけだ。

 メイが魔法使いになれますように

公立学校の教育の場で、タダみたいな値段で渡される教科書で、「魔法」が教えてもらえる日が一日も早く来ると良いと思う。ボクの大好きなメイが小さいうちに。

いざとなったら「ぴよちゃん」が助けてやるぞ!って力んでもアテにされて無いだろうな。