確定申告メモ(2)源泉徴収票の見方
最初にゴールを。
(1)課税所得
課税所得=給与収入-給与所得控除-各種控除
ここで、
各種控除=配偶者控除+社会保険+生命保険控除+基礎控除+・・・
(2)所得税
所得税=Σ(δ課税所得×税率)
簡便法があり、
所得税=課税所得×税率-控除額
(3)東日本震災の特別税を合算
細かく見ていきます。
控除額や税額を求めるための色々な表があって、自分はどこに当てはまるか見つけていくだけです。
図として挿入されている表は国税庁のHPが出典です。
1. 課税所得の算出
1-1. 給与所得控除額
令和元年と二年で異なる表を用います。
支払金額(給与などの収入金額)の欄が1000万を超えている人は、それから220万円を引いた額が給与所得控除後の金額の欄に記載されているはずです。
660万円から1000万円の人は、支払金額-(支払金額×0.1+120)万円になっているはずです。
令和2年以降はこちらに変更。
やり方は同じです。
1-2. 各種控除
1-2-1. 配偶者(特別)控除
これは配偶者の稼ぎと控除を受ける納税者の稼ぎの関数。
配偶者の給与などが103万円までの時と103万円超150万円以下で控除額は一緒。
まず配偶者控除。
合計所得金額は1-1で算出した給与収入-給与所得控除を用いる。
配偶者の給与収入が103万円の場合、103-65=38で38万円が配偶者の所得。
配偶者の給与等の収入の合計が103万円以下の場合は、下表で配偶者所得控除額が決まる。
いわゆる103万円の壁。
控除を受ける納税者本人の合計所得のみを気にすればよい。
生活に即して言うと、奥さんのパート代を103万円までにおさえれば旦那の稼ぎだけで控除額が決まります。
配偶者特別控除がこちら。
配偶者の給与などの合計が150万円の場合の配偶者の合計所得は1-1に従い下記。
150×0.4=60<65
よって控除額は65万円。
これより配偶者の所得を求める。
150-65=85
よって控除を受ける納税者本人の合計所得金額に応じて配偶者特別控除は38万円、26万円、13万円、0万円のいずれかになる。
103万円以下だと配偶者控除となり、103万円超150万円以下だと配偶者特別控除となるが控除額は同じ。
これが所謂150万円の壁。
150万円を超えると控除額そのものが減る。
例えば配偶者がパートで155万円を稼いだとすると、配偶者の給与所得控除は1-1にある様に155×0.4=62<65であるから65万円。
よって配偶者の合計所得金額は155-65=90となる。
よって控除を受ける納税者本人の合計所得金額に応じて配偶者特別控除は36万円、24万円、12万円、0万円のいずれかになる。
配偶者の給与などの収入金額が162.5万円をこえる場合は1-1に記載の計算によって合計所得金額を求める。
令和二年から控除額が変わります。
1-2-2. 社会保険料
これが一番簡単。
マスに印刷してある数字をそのまま使う。
1-2-3. 扶養控除
*1の対象が16歳以上
*2は19-23歳。
*3は70歳以上。
*4はこれに加えて同居。
生計同一で合計所得が38万円(令和二年以降48万円)以下がポイント。
大体、高校生以上、大学生という括りで設計されている事が分かります。
浪人と大学院生は不利。
そういえば、仕送りがいくらでバイトがいくらって書類を税務署に出しに行っていた。
1-2-4. 生命保険料の控除額
企業グループ会社の保険に加入すると、最初からここは記載されている。三菱の人が明治安田生命の生命保険に入った時など。
労働組合系の年金共済に加入した場合なども最初から記載済み。
平成23年12月31日以前の契約の計算式
平成24年1月1日以後の契約の計算式
上限が12万円であることもポイント。
年金共済4万円と生命保険20万円の支払いの場合。
契約がいずれも平成24年以降なら両方とも下の表で計算。
年金共済分=40000×1/2+10000=30000
生保>80000なので一律額が適用される。
生保分=40000
合計=30000+40000=70000<120000
1-2-5. 医療費控除
取り敢えず10万円超えたら還って来るって覚えておく。
注意するのは入院などで保険を使った時。
医療費控除額=自分で払った額-保険などで補填された額-10万円
戻る額(還付金)=医療費控除額×所得税率
保険料の請求で病院の請求書を使うので、それと保険屋から来る支払い額の計算書をとっておけば良い。その二つの差分から10万円を引けば医療費控除額。
1-2-6. 基礎控除
令和元年が38万円、令和二年以降が48万円。
2400万円超稼ぐことがなければコレでOK!
令和元年に妻が103万円をパートで稼いだとする。
給与収入-給与所得控除-基礎控除
=103-65-38
=0
所得税はかからない。
150万円の場合は47万円に5%の所得税がかかる。
給与収入-給与所得控除-基礎控除
=150-65-38
=47
配偶者控除と配偶者特別控除は38万円、26万円、13万円、0万円のいずれかになる。
1-2-7. その他
他にもアイテムがあって住宅ローンは大物ですが、ローン組んでいませんし、今後借金して家を買う予定も無いので割愛。
2. 所得税の計算
1-2の合計を給与所得から引いたものが課税所得。
所得バンド毎に税率が異なる。
図に示した面積の問題。
695万円以下の収入の場合、195万円までは5%、195万円から330万円までが10%、330万円から695万円までが20%の税率となる。
課税所得が500万円の場合は下記の計算。
195×5%+(330-195)×10%+(500-330)×20%
つまり、階段の下側(ア)の面積を求めると所得税が求められる。
所得バンド毎の税額を足すより、表の右に記載してある控除額を使うと計算が簡単になる。
つまりこの数字は階段の上側(イ)の面積の和となっている。
課税所得が500万円の人は500万円に0.2を掛けて427500を引けば所得税。
課税所得が1000万円の人は1000万円に0.33を掛けて1536000を引く。
2-1. 切り捨て処理
切り捨て処理のやり方は2通り。
①課税標準額1000円未満切り捨て。
②納税額100円未満切り捨て。
ステップ1 課税所得が出た段階で1000円未満を切り捨てする。
ステップ2 税率を掛けて税額を計算する。
ステップ3 100円未満を切り捨てて納税額とする。
3. 相談する先
税務署。税務署がごった返す前に行けば、大丈夫。
1989年の海田税務署長は片山さつき。
さつきは全国比例区だからなのだろうけど、今でも海田町との繋がりを何気にアピールしている。
4.ストックオプションの処理
給与所得の部分が変わってくる例。
会社から税務署にリストが行っているので、「分かんない」とか言っていないで間に合わせないといけない。
4-1. ストックオプション NQ:税制非適格
権利付与:何もしないでいい
権利行使:給与所得、確定申告必要
株式売却:譲渡所得、確定申告必要
権利行使時に株式売却:給与所得、確定申告必要
4-2. RSU restricted stock unit: 制限付き業績付与給
権利付与:何もしないでいい
制限解除時:給与所得、確定申告必要
株式売却時:譲渡所得、確定申告必要
制限解除時に株式売却:給与所得、確定申告必要
必要な書類
・権利付与時の資料
・権利行使時、制限解除時の資料
・売却時の資料
確定申告で楽をするには、自分のものにした時点で即売り。
さて、今年の分を頑張ろう。